アキレス・プリースター

長距離ランナー ツーバスドラマーの教科書
アキレス・プリースター
元Angraのドラマーとして知名度が高い。ヘヴィかつタイトなドラミングが特徴であり、またヘヴィメタル系のツーバスドラミングを得意とする。サッカー選手を目指していたこともあり、ツーバスドラミング(いわゆるドコドコ)を長時間キープする無尽蔵のスタミナには驚嘆する。

基本情報

名前 アキレス・プリースター (Aquiles Priester)
生年月日 1971/06/25 (53 歳)
出身 ブラジル ※出生は南アフリカ共和国
バンド(ゲスト参加含む)

アキレス・プリースターの特徴・エピソードなど

今や、ブラジル青年が憧れるトップドラマーのひとり。(日本青年の中にも、憧れてる人は多いだろう)

幼少期はサッカー少年

南アフリカに生まれたアキレス・プリースターは、6歳の時(1977年)にブラジルの都市フォズ・ド・イグアスに移住している。ここでサッカーに夢中になり、地元のチームでプロ選手としてプレーを始めています。

ドラムを叩き始めたのは14歳の頃(1985年)で、同年に初開催された「ロック・イン・リオ」を見て、ドラムに目覚める。その時は裏庭に手製のドラムセットを組み、空き缶などを叩いて遊んでいたという。

仕事にも就けず、音楽でも成功しない日々が続く

今でこそブラジルを代表するヘヴィメタル・ドラマーとして名を馳せていますが、20代前半までのアキレスは不遇の時代を過ごしています。様々なバンドを渡り歩くが日の目も見られず、気が付けばアキレスは24歳になっていました(1995年頃)。その時「仕事に就いて真面目に働くか」「ドラマーを目指し続けるか」について真剣に悩んでいたことが窺えます。

何とか就職先も決まり、スーツに袖を通し、仕事をメインにしながらドラムを続ける日々を送る中、1997年にヘヴィメタルバンドのハンガー(Hangar)を結成。

転機はアングラへの加入

アキレスの名を一躍有名にさせたのが、2000年にブラジル至宝のヘヴィメタルバンド「アングラ(Angra)」に加入したことであろう。私自身もアングラを通じてアキレスの存在を知りました。アキレスが加入した時期のアングラは、フロントマンであるアンドレ・マトス(Andre Matos)なき後、再生へ向けた苦しい時期を過ごしていました。そしてその苦しみを乗り越えて発表したアルバム「Rebirth(再生)」は、まさに新生アングラとして再生と呼べる仕上がりのアルバムとなりました。アキレスの非常にタイトかつヘヴィなドラミングは、新生アングラの飛躍への原動力にもなっています。

アングラに途中加入したにも関わらず、「アングラのドラマーはアキレスが一番だ」とリスナーに言わしめる程に、アキレスのドラミングはアングラの音楽にマッチしていたと思います。残念なことに、掛け持ちしていたバンド「ハンガー」に専念したい等の理由から、2009年にアングラを脱退しています。

ただ、2010年にドリーム・シアター(Dream Theater)のオーディションを受けている辺りを見ると、アングラを脱退した理由は他にもありそうな気がしますが。

年々巨大化するドラムセットにも注目!

年々彼のドラムセットが増大し続けている所も見どころである。ドラムメーカーのメイペックス(Mapex)やシンバルメーカーのパイステ(Paiste)がスポンサーになっているので、経費が掛からないのであろう。

アキレスのドラミングは世界中のみならず、日本のヘヴィメタルファンやドラマーに非常に人気があります。

彼のプレイの特徴としては、

  • 何と言ってもツーバスドラミング(いわゆるドコドコ)を長時間キープできる足元の技術とスタミナである。私自身もツーバスドラミングに没頭していた時期があるので分かるのですが、ツーバスドラミングで難しいのは、瞬間的にパワーのない早い連打を出すことよりも、比較的早い連打をしっかりと踏んで長時間に渡りキープし続けることだと思っています。その点において、彼のツーバスドラミングは非常に参考になります。
  • ヘヴィメタル系フィルイン等に用いるツーバスドラミング(いわゆる手手足足や手手手手足足などの4連符・6連符コンビネーション)を多用する。
  • ブラシル出身ということもあり、サンバやラテン系特有のリズムも取り入れている。
  • アングラでみられるような、メロディック・スピードメタル系の疾走感のあるドラミングから、最近ではハンガーや彼のクリニック等でみられるような、プログレッシブ・メタル系の難解な変拍子ドラミングも増えてきている。
  • 体幹が鍛えられており、下半身のブレが少なく非常にキレイで無駄のない叩き方である。

アキレス・プリースターの音楽・ライブ映像(有名な曲、おすすめ曲)

アングラ(Angra)時代の最高傑作と名高いアルバム「Temple Of Shadows」に収録されている、メロディック・スピードメタル系の代表曲「Spread Your Fire」。

  • ツーバスドラミング(いわゆるドコドコ)の長時間キープが見どころです。体幹が鍛えられており、下半身が安定しているために、無駄なロスがなく足に力を伝えることが出来ています。
  • ペダルのキックのリバウンドを殺すことなく、しっかり跳ね返らせることにより、パワーロスがなく次の一打へ踏み込めています。

ハンガー(Hangar)のアルバム「Infallible」に収録されている「The Infallible Emperor 1956」という曲。

  • ハンガーでは、アングラ時代よりもさらに手数・足数の多いドラミングを披露しています。プログレ色が強い。
  • 個人的に驚嘆するのは2:32から始まる箇所。足のオルタネート(ドコドコ)をキープしつつ、ハイハットを左手でミュートしたり、トリッキーなフィルインを入れている。ものすごい下半身の安定感です。

アキレスの代表的なドラム・ソロ。ライブやクリニック等で披露されます。

  • 所々にブラジル特有のサンバリズムを取り入れているのが分かります。
  • ヘヴィメタル系フィルイン等に用いるツーバスドラミング(いわゆる手手足足や手手手手足足などの4連符・6連符コンビネーション)が随所に盛り込まれています。
  • ユーモラスに富んだ明るめの仕上がりのソロですが、根幹となっているのは、アキレスのタイトでヘヴィなドラミングであることが分かります。
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